第38回日本脳神経超音波学会総会
会長 川口 正一郎
医療法人和幸会 阪奈中央病院 院長
第38回日本脳神経超音波学会総会を2019年6月7日(金)、8日(土)に奈良春日野国際フォーラム 甍~I・RA・KA~にて開催させていただくにあたり、会員の皆様にご挨拶を申し上げます。伝統ある本学会を開催させていただけることは、身に余る光栄です。奈良では、1988年に第7回日本脳・神経超音波研究会総会として奈良県立医科大学第1内科(故)石川兵衛名誉教授が、2001年には第20回日本脳神経超音波学会総会を奈良県立医科大学脳神経外科榊寿右名誉教授が開催されておられ、私が担当させていただくのが3回目の総会開催となります。今回は、奈良県立医科大学循環内科教授斎藤能彦先生と神経内科教授杉江和馬先生に副会長を、私の母教室である脳神経外科教授中瀬裕之先生に顧問に就いてい頂き奈良県の総力挙げての総会にしたいと考えております。
第38回総会のテーマは、「必要とされる脳神経超音波」とさせていただきました。脳神経超音波は比較的古くからある手法ですが、ハード、ソフトの両面での発達が顕著で、診断のみでなく超音波の特性を活かし脳神経領域でも治療への応用も始められております。一方、CTやMRI、術中ICG造影検査などといった他の画像診断技術の進歩と相まった脳神経超音波ならではの役割や活用も求められています。そこで、第38回総会では、脳神経超音波を診断、治療、治療後経過、手技、術中モニターといった様々な臨床の場面での活用を報告、議論していただき、臨床に、研究に活かしていただけるよう、「必要とされる脳神経超音波」というテーマを設定させていただきました。2019年は、元号が改められ、日本が新たな時代に入る節目の年でもあります。脳神経超音波の世界でも本総会を契機に新たな局面を迎えられたらと、考えております。
私自身、大学卒業後、脳神経外科を志し、外科的治療での術前術後評価や、術中検査、手技としての脳神経超音波に興味を抱きました。その中で、超音波検査を用いて、脳神経外科医の基本的手術の一つである浅側頭動脈-中大脳動脈吻合術が内頸動脈閉塞性病変で有用であることを明らかとし、本学会での総会や機関誌でも報告させていただき、臨床や研究における脳神経超音波の必要性と有用性を痛感致しました。その後、機関誌「Neurosonology」の査読委員、編集委員、学会理事を務めさせていただき、今回の第38回日本脳神経超音波学会総会のお世話をさせていただく運びとなったと感じております。
6月の奈良ということで天候もやや気がかりですが、学問だけでなく、放し飼いの鹿や、多くの国宝や重要文化財が皆様方をお待ちしております。特別講演や教育講演、シンポジウム、特別企画など、学会にご参加頂いた方々が得られるものが少しでも多くなるよう鋭意企画中です。お一人でも多くのご参加と、ご発表をお待ちしております。